キャリアコンサルタントの年収は?最新調査で分かる本当の実態

「キャリアコンサルタントの年収」を調べると、たいてい「400万円前後」「300〜400万円が最多」といった数字が出てきます。
しかしその数字を見ても、多くの方が本当に知りたいことには答えが出ていないはずです。この資格で、実際に食べていけるのか。 資格を取ったのに収入が変わらないのは自分だけなのか。
この記事では、現時点で最新の公的調査データをもとに、そこを正面から扱います。結論から言えば、流通している「平均年収」はあなたが知りたい数字とは別のものです。
結論:年収の中央値は400〜500万円未満。ただしその大半は「キャリコン以外の収入」
先に結論を3つ示します。
- キャリアコンサルタント登録者の個人年収は、中央値が400〜500万円未満(2023年公表の最新調査)
- しかし、その個人年収に占めるキャリアコンサルティング関連活動による収入の割合は、中央値でわずか5.0%
- さらに、登録者の41.2%は、キャリアコンサルティング関連活動による収入がゼロ
つまり「キャリアコンサルタントの年収400万円台」という数字の中身は、その大半が人事・営業・教員といった本業の給与です。キャリコンとして稼いだ額ではありません。
この構造を押さえずに「平均年収」だけを見ると、判断を確実に誤ります。順に見ていきます。
最新調査で見る年収の実態
個人年収の分布と中央値
もっとも信頼できるデータは、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が実施した登録者調査です。最新版は労働政策研究報告書No.227「第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」(2023年公表)。2022年7〜8月に実施され、有効回収は7,586通(回収率12.9%)という大規模な調査です。
直近1年間の税込み個人年収の分布は、次のようになっています。
| 年収階級 | 割合 |
|---|---|
| 300〜400万円未満 | 16.5% |
| 400〜500万円未満 | 14.5% |
| 200〜300万円未満 | 13.8% |
| 500〜600万円未満 | 12.0% |
| 600〜700万円未満 | 9.4% |
中央値は「400〜500万円未満」。 最も多い階級は300〜400万円未満です。
分布を見ると、200万円台から600万円台までに回答が広く散らばっていることが分かります。これは「キャリアコンサルタントという職業の相場」が存在しないことを意味します。ばらつきの理由は後半で扱います。
「平均年収」という言い方が実態を映さない理由
まず前提として、この職業に公的な「平均年収」の数字は存在しません。 賃金構造基本統計調査のような統計に「キャリアコンサルタント」という職業区分がないためです。
そのため各サイトが出している「平均年収」は、上記の分布から推計した数字か、求人票の提示額を集計した数字のどちらかです。前者は分布の広さを潰してしまい、後者はそもそも募集時の提示額であって実支給額ではありません。
もっと本質的な問題は、この調査が聞いているのが「個人年収」であって「キャリアコンサルタントとしての収入」ではないという点です。回答者の多くは企業の人事部員や人材サービス会社の社員であり、その人の給与がそのまま計上されています。次章がこの記事の核心です。
多くの記事の数字が、実は5年前のものである件
もう一点、注意していただきたいことがあります。
「キャリアコンサルタント 年収」で検索して上位に出てくる記事の多くが、いまだに2018年公表の第1回調査(労働政策研究報告書No.200)を出典にしています。よく見かける「200〜400万円未満が33.2%」という数字は、この第1回調査のものです。
第2回調査(No.227)はその5年後の状況を捉えたもので、報告書は直近5年間で年収が若干増加したと述べています。同じ「調査データ」でも、5年前の分布を見ているか、最新の分布を見ているかで判断は変わります。本記事の数値はすべて第2回調査(2023年公表)に基づいています。
見落とされている数字──登録者の41.2%は、キャリコン活動での収入がゼロ
ここが、他のどの解説記事も触れていない部分です。
第2回調査では、個人年収のうちキャリアコンサルティングに関連する活動による収入が何%を占めるかを尋ねています。結果はこうです。
| 個人年収に占めるキャリコン関連収入の割合 | 割合 |
|---|---|
| 0%(キャリコン関連の収入がない) | 41.2% |
| 中央値 | 5.0% |
| 91〜100%(ほぼ全収入がキャリコン関連) | 21.0% |
個人年収に占めるキャリコン関連収入は、中央値でわずか5%
登録者の4割以上が、キャリアコンサルティング関連の活動で1円も得ていません。 そして全体の中央値は5.0%です。年収400万円の人なら、そのうち20万円程度ということになります。
この数字を踏まえると、「キャリアコンサルタントの年収は400万円台」という表現がいかに誤解を招くかが分かります。正確に言い直すとこうなります。
キャリアコンサルタントの資格を持つ人の年収は400万円台。ただしその収入は、ほとんどが資格とは別の仕事から来ている。
資格を取ったのに収入が変わらなかった——それはあなただけに起きたことではなく、登録者の多数派に起きていることです。まずこの事実を知っておくことに意味があります。自分の能力の問題だと考えるのをやめられるからです。
一方で21%は「年収の9割以上」がキャリコン関連という二極化
しかし同じ調査は、もう一つの事実も示しています。21.0%の人は、年収の91〜100%をキャリアコンサルティング関連活動で得ています。
「0%が41.2%、9割以上が21.0%」——これは平均的な中間層が薄い、二極化した分布です。少しずつ収入が増えていく緩やかな坂ではなく、専業として成立しているかしていないかで分かれています。
そしてこの2つのグループを分けているのは、資格の有無ではありません。全員が同じ国家資格を持っています。分けているのは、資格を収入に変換する何かを持っているかどうかです。それが何なのかは、この記事の後半で扱います。
雇用形態で年収はここまで違う
年収のばらつきを最もよく説明するのは、雇用形態です。第2回調査の雇用形態別の分布を見ます。
| 雇用形態 | 回答数 | 最も多い年収階級 |
|---|---|---|
| 正規雇用 | 3,935 | 400〜500万円未満(14.2%)/500万円以上が多い |
| 非正規雇用 | 2,042 | 200〜300万円未満(28.0%)、300〜400万円未満(26.2%) |
| フリーランス・個人事業主 | 547 | 100〜200万円未満(16.8%) |
正規雇用では500万円以上の層が目立って多く、非正規雇用は200〜400万円未満に集中します。そして最も年収が低く出るのは、フリーランス・個人事業主です。
フリーランスの年収が最も低く出る理由
「独立すれば稼げる」というイメージとは逆の結果です。理由は3つあります。
第一に、独立直後の人が含まれること。立ち上げ期の低い年収がそのまま分布に入ります。
第二に、キャリア相談は単価を上げにくいこと。1回1時間の面談を積み上げるモデルでは、収入は時間で上限が決まります。個人相談の相場を大きく超える価格をつけるには、「その人でなければならない理由」が必要です。
第三に、案件が単発になりやすいこと。転職相談は転職が決まれば終わります。継続契約になりにくい構造では、常に新規集客を続けることになります。
つまりフリーランスの年収が低いのは、独立という選択が間違っているからではなく、単価と継続性を設計せずに独立すると、この分布に入るということです。
「キャリアコンサルタントは儲かりますか」への正直な答え
検索の関連質問にもよく現れる問いです。ここまでのデータを踏まえて、正直に答えます。
資格を取っただけでは、まず儲かりません。 4割以上がキャリコン関連収入ゼロという数字がそれを示しています。養成講座30万円台〜40万円台と受験料38,800円、さらに5年ごとに10万円前後の更新費用がかかる一方で、資格それ自体は収入を生みません。
一方で、専業として年収の9割以上を得ている人が21%いることも事実です。これは、この仕事で生計が立つことの証明でもあります。
したがって答えは「儲かるか儲からないか」ではなく、「何を足せばその21%側に入れるのか」です。問いを立て替えたほうが、次の行動が決まります。
年収が上がらない理由は、市場の狭さではない
需要は増えている
まず、市場が縮んでいるわけではありません。企業内のキャリア面談の制度化(セルフ・キャリアドック)、中高年層のキャリア再設計、リスキリング支援など、キャリア相談を制度として組み込む動きは広がっています。国が資格を制度化し、企業への導入を推進している領域です。
「キャリアコンサルタントの需要」や「将来性」を心配する声は多いですが、需要そのものは減っていません。
それでも収入に変わらないのは、単価が「指名」で決まっていないから
問題は供給側にあります。国家資格キャリアコンサルタントの登録者数は、2025年12月末時点で85,513人。 制度開始から増え続けています。
需要が増えても、それを担える人が同じペースで増えていれば、1人あたりの単価は上がりません。そして85,513人全員が、同じ養成課程を修了し、同じ傾聴訓練を受け、同じキャリア理論を学んでいます。
単価が上がるのは、需要が増えたときではなく、「この人に頼みたい」という指名が発生したときです。指名は、他の人と同じ装備からは生まれません。
年収が上がらない本当の理由は、市場の狭さではなく、指名される理由がまだ言語化されていないことにあります。
年収を上げる4つの筋道
ここまでの構造を踏まえて、現実的な打ち手を4つ挙げます。
① 活動を「本業の一部」に組み込む
いきなり独立を目指すより確実なのが、いま在籍している組織の中でキャリア支援を業務化することです。人事部門であれば社内キャリア面談の設計、営業職であれば顧客企業への提案材料として。キャリコン関連収入0%を、まず数%にするのが最初の一歩です。分布の中央値が5.0%であることを思い出してください。この一歩の時点で、すでに中間層です。
② 対個人から対法人へ
個人相談の単価には上限があります。一方、法人研修や顧問契約は1件の金額が大きく、継続します。国家資格を「名乗れる」ことが最も効くのはこの領域で、入札要件や委託要件として機能します。フリーランスの年収分布が低い理由の裏返しとして、対法人に軸足を移すことが単価の天井を外す最短経路です。
③ 上位資格・専門分野で単価を上げる
キャリアコンサルティング技能士(2級・1級)などの上位資格は、単価交渉の根拠になります。ただし上位資格は「同じ土俵での上位」であることに注意が必要です。土俵そのものを変える手が、次の④です。
④ 面談に「いつ」に答える道具を1つ足す
指名が発生するのは、他の人が答えられない質問に答えられるときです。
そして相談者が最も頻繁に投げてくる質問は「私は何に向いていますか」ではなく、「今、動くべきでしょうか」です。適性(ホランド、VPI)、価値観(キャリア・アンカー)、経歴(ジョブ・カード)——キャリアコンサルタントの道具箱は「何を・どこへ」については十分に整備されていますが、「いつ」に答える道具だけが、どの養成講座にも入っていません。
私たちがお伝えしているのは、生年月日を分析の基準点として、その人固有のリズムを12のポジションで読み解く時間軸のアセスメントです。占いではなく、手順が決まっており、誰が引いても同じチャートになり、学べば再現できる技術です。だから面談の道具になり、「この人に相談すると時期の見当がつく」という指名の理由になります。
なぜ資格だけでは差がつかないのか——この構造を別の角度から整理した記事もあります。あわせてお読みください:キャリアコンサルタントは役に立たない?取った人ほど感じる理由
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よくある質問
結局、平均年収はいくらですか
この職業に公的な平均年収の統計はありません。最新の登録者調査では個人年収の中央値が400〜500万円未満、最多階級が300〜400万円未満です。ただし前述のとおり、その多くはキャリコン以外の仕事による収入です。
独立すれば年収1,000万円は可能ですか
可能性はありますが、分布上は例外的です。フリーランス・個人事業主の最多階級は100〜200万円未満で、独立が自動的に収入増につながるわけではありません。到達している人は、対法人の継続契約か、指名で単価が決まる専門性のいずれかを持っています。
キャリアアドバイザーとの年収の違いは?
「キャリアアドバイザー」は人材紹介会社の職種名として使われることが多く、こちらは企業に雇用された営業職としての給与体系(固定給+インセンティブ)になります。求人票の提示額は高めに出ますが、成果連動の比重が大きい点は考慮が必要です。国家資格の有無で給与が決まる仕組みにはなっていません。
「キャリアカウンセラー」と呼び方が違いますが、給料も違いますか
呼称の違いで給料が変わることはありません。「キャリアカウンセラー」は主に民間資格や職種の通称として使われてきた言葉で、2016年に国家資格化された名称が「キャリアコンサルタント」です。求人票では両方の表記が混在していますが、給与テーブルを決めているのは雇用形態と業務内容であって、呼称ではありません。転職サイトで探す際は両方の語で検索したほうが求人の取りこぼしがありません。
副業として月数万円を得るのは現実的ですか
分布から見れば、こちらのほうが現実的な入口です。キャリコン関連収入の中央値が5.0%であることを考えると、月数万円の副収入は「上位半分に入る」水準です。土日のキャリア相談、企業研修の講師アシスタント、公的機関の非常勤などが典型的な入口になります。ただし単価は時間で決まるため、収入を伸ばす段階では前述の「対法人」「指名される専門性」への切り替えが必要になります。
未経験から入ると年収はどうなりますか
未経験で入りやすいのは大学のキャリアセンターや公的就職支援機関ですが、雇用形態は有期・非常勤が中心です。非正規雇用の最多階級は200〜300万円未満で、まずここに位置することになります。実務経験を積む場と割り切るか、本業と兼務するかの判断になります。
将来性はありますか
需要面では、企業内キャリア支援の制度化により拡大方向です。一方で登録者数も85,513人まで増えており、需要が増えても供給も増えているのが実情です。したがって「資格を持っていれば将来安泰」ではなく、「他の85,512人と何が違うかを言える人が残る」という将来像になります。
年収は、資格をどう活かすかという全体設計の結果として決まります。活かし方を4つの型に整理した国家資格キャリアコンサルタントの活かし方 完全ガイドもあわせてご覧ください。
まとめ:問うべきは「相場」ではなく「変換率」
要点を整理します。
- 個人年収の中央値は400〜500万円未満、最多階級は300〜400万円未満(2023年公表・最新調査)
- しかし個人年収に占めるキャリコン関連収入は中央値5.0%、41.2%はゼロ
- 一方で21.0%は年収の9割以上をキャリコン関連で得ており、分布は二極化している
- 雇用形態別では正規雇用が高く、フリーランス・個人事業主が最も低い
- 年収が上がらない理由は市場の狭さではなく、登録者85,513人と同じ装備のままでは指名が発生しないこと
見るべき数字は「相場がいくらか」ではありません。自分の年収のうち何%がこの資格から生まれているか——この変換率です。それが0%なら、足りていないのは努力ではなく、変換のための道具です。
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